最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)36 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁護士青戸辰午の上告理由について。
しかし、昭和一五年一〇月頃から被告(上告人、控訴人)は、原告(被上告人、
被控訴人)の母Dと情交関係を結び、Dに他の酌婦や店の仕事の取締をやらせたり、
炊事などもさせて事実上の夫婦のように振舞い情交関係を続け、このような状態は
昭和一九年六月初頃E組の工事が終つて、被告が店をたたんで肩書自宅に引揚げる
まで続き、この間同年五月頃原告を懐胎したのであつて、被告はこの事実を同年七
月頃知り、依然実家に起居するDのもとに通つて情交関係を続け、昭和二〇年二月
一〇日原告出生後も約一年間同様の交情を重ねており、なお、被告は原告が生れて
後Dに対し千円余の金品を与えていた旨の原判決(並びにその引用する第一審判決)
の認定事実並びにDが原告を懐胎した当時被告以外の男と情交したとの事実を認め
る証拠はない旨の判示は、原判決(第一審判決)挙示の証拠関係に照し肯認できる
し、また、右認定事実に鑑定人Fの鑑定の結果認められる事実を考え合わせ、原告
はDが被告によつて懐胎したものと認める旨の判断もこれを正当として是認するこ
とができる。されば、所論は、結局原審の適法になした証拠の取捨、判断ないし事
実の認定を非難するに帰し、採ることができない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 入 江 俊 郎
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裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 高 木 常 七
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